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この財団は、湖沼環境問題にかかる世界の著名な研究者、専門家約16名からなる科学委員会を有し、その助言のもとに活動をしている。92年4月からは、国連環境計画(UNEP)国際環境技術センターの支援財団としても協力を行うこととなった。このため、賛助会員制度を発足し、法人会員年額1口10万円、個人会員年額1口2千円で会員を募集している。
滋賀県は従来から、環境熱心県として、琵琶湖の水質保全を中心とする環境問題には熱心に取り組んできたが、高度経済成長とともに、琵琶湖の水質悪化が進み、1977年には初めて琵琶湖に赤潮が発生し、その後アオコも発生するようになった。これを契機に、粉せっけん使用推進運動が婦人団体を中心に始まり、県下全域に広がり、県民にせっけんの使用を呼びかけた。そして、窒素、リンを含む合成洗剤の販売を規制する条例を日本で初めて80年7月に制定した。これが琵琶湖富栄養化防止条例である。
また、県では、琵琶湖の生態系に大きな影響を与えるヨシ(葦)群落を保全する条例や、ゴミの散乱防止に関する条例、さらには環境基本条例など、積極的な環境保全対策に取り組んでいる。これら条例の施行日が全て7月1日で、従来から琵琶湖の日として一斉清掃などを呼びかけいていたが、96年7月1日施行の環境基本条例の中で、正式に7月1日を「びわ湖の日」と制定した。
その他、土木部所管の道路の建設や河川の改修事業などに関しても、92年から環境に配慮する取り組みを行い、公共工事の計画段階から実施までの指導書(公共工事の環境対策の手引(工事編、みず編、みち編、まち編))を県独自に作成して、市町村や建設業者への指導を行っている。
一方、国においても、公共工事に対する環境面での配慮が行われ、大事な地下資源である地下水の涵養のために、歩道への透水性舗装の導入が進んでいる。

 

2 現状
UNEP国際環境技術センターの概要について述べる。
UNEP国際環境技術センターは、開発途上国や経済が移行期にある国々に対して、環境上健全な技術の移転を促進することを目的にしており、大都市及び淡水湖沼集水域の環境上持続可能な管理に焦点を当て、研修、助言サービス、研究、関連情報の収集・提供を行っている。
施設は、敷地12,719平米(水資源開発公団所有地を借地)、建設費約20億円、鉄筋コンクリート造(地上2F、地下1F)、延床面積3,018平米で、県が提供した。
センターには、水環境問題を取り扱う滋賀事務所と大都市の総合的環境管理を扱う大阪事務所の2つの事務所がある。所長は大阪事務所に、副所長は滋賀事務所に勤務し、上級審議官、専門官などの専門職員や一般職員等をあわせ、十数名の国連職員が活動している。その

 

 

 

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